
『中期経営計画2027』の
進捗状況について聞く
- Q. 2024年6月の株主総会を以って社長に就任されるのと期を同じくして、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期までの3か年計画) がスタートし、その1年目が終了しました。ここまでの取り組みの進捗状況を伺います。まずは、外部環境から教えてください。
- 吉原:コロナ禍の只中にあった2021 年3月期は、当社には追い風がありました。多くの企業が業績不振にあえぐ中、家電製品を取り扱う当社は、巣ごもり、テレワーク、郊外店の優位性などから図らずも過去最高益となりました。それから3年間は需要先食いの反動減、旅行などのコト消費活況などのあおりを受け減収減益になったわけですが、2025年3月期は反動減も収束し業績はようやく底打ち反転、2025年3月期は4期ぶりの増収増益を達成することができました。
- 一方で足元では、物価やエネルギー価格の高騰による生活防衛意識の高まりにより、節約志向が続いています。家電は生活必需品ですから、壊れたら必ず買い替える底堅い需要がありますが、近年は買い替えのサイクルが鈍化している印象です。これまでの「そろそろ新しいものに買い替えよう」から「壊れたから買わざるを得ない」という必然的な買い替えへと変化しています。
- だからこそ、当社はその買い替え需要をしっかりと捕まえなければなりません。そして接客の際には中期経営計画の重点施策に組み込んでいる高機能や高い省エネ性能が付いている“高付加価値商品” のお勧めが非常に重要になってきているわけです。
「中期経営計画2027」(2024年5月9日公表、2025年5月8日一部更新)より抜粋
- Q. それでは、2025年3月期を振り返って、中期経営計画2027の取り組み事項骨子1『家電に特化し安定した利益創出を目指す』の進捗状況から教えてください。
- 吉原:まずは重点施策①の進捗状況です。地域の状況に合わせて営業時間を適宜変更いたしました。この見直しは随時行っています。営業時間をスライドした店舗は3店舗、短縮した店舗は24店舗、延長した店舗は1店舗ございました。お客様の動向や周辺の商業施設・住環境に合う営業時間となるようにしています。
続いて出退店実績ですが、出店は8店舗でした。3年間で30店舗出店計画を単純割すると年間10店舗ペースになりますが、建築コストの高止まりによりそれよりも少ない出店数となりました。閉鎖は8店舗で、これには既存店効率の再点検の一環によるものも含まれます。複数の要素を慎重に勘案し、閉鎖したほうが全体の効率改善につながると判断した店舗を閉鎖しました。
店舗改装は目標を越える33店舗で実施をいたしました。改装は非常に重要です。売場の魅力を保つためのトレンドに合わせたゾーン改装、休憩スペースの設置、インフォメーションカウンターの設置などお客様の利便性を向上させることは勿論のこと、従業員が心機一転、きれいなお店で働くことへのモチベーションアップにもつながりますので、これからもコンスタントに続けてまいります。 - 続いて重要な“高付加価値商品販売” が含まれている、重点施策②の進捗ですが、その前に申し上げておかなければならないことがあります。当社は創業以来、従業員を一番に大切にしてきました。そのため、給料のベースアップについても、毎年コンスタントに実施してきました。このことはこれからもずっと続けていきたいと考えています。しかしながら、多くの企業がそうであろうと思いますが、販売管理費の中に占める人件費の割合は、年々大きくなっているのが現状です。
当社には、『がんばらない経営』という経営方針があります。これは、端的に表現すると、“経営は終わりのない駅伝競争であるから、ある時だけ無理をしても意味がない。やるべきことはちゃんとやる、しかしできもしないことをやろうとしない” ということです。そのため、従業員にはノルマを課していません。お客様のお話をよく聞き、会社が儲かる商品を無理にお客様に売りつけるようなことはしない。そうすることでお客様にご支持いただき、ファンを増やしてきました。私は、当社にとって一番大切なこの経営方針はこれからもしっかりと守っていかなければならないと思っています。そのためにも、労働生産性を上げる努力をし続けなければなりません。
今やインターネットでの買い方も普及する中で、当社は人間が接客をする、リアル店舗を運営しています。私はこのリアル店舗の価値とはなんであるかを考えたとき、店舗の価値=従業員の接客力であると思います。もしお客様が「これをください」といった商品をそのまま販売するのであれば、それは人間でなくてもできることです。我々の存在価値がなんであるかというと、従業員そのものなのです。人が接客に携わることで、お客様にほかの便利な機能が付いた商品を紹介する。それを買うならばプラスでこれがあったほうが更に利用価値が上がる、といったお勧めをきちんとやっていかなければなりません。これは、創業以来大切にしてきた、『がんばらない経営』を否定することではありません。お客様により満足していただけるように、より良いものを紹介する、より便利なものをお勧めする、これは決してお客様をだまして売るようなことではなく、お客様の満足度の向上につながるものだと思っています。
例えば洗濯機であれば、5万円のものから30万円するものまであります。30万円のものを買う方は割合としては多くありません。ですが、これを買う方が20人に1人の割合であったものを2人にすることで、一人当たりの労働生産性を上げることができるのです。5万円の商品を販売するよりも30万円の商品を販売するにあたって、接客時間が6倍長くかかるわけではありません。ですから、我々が『高付加価値商品』と呼んでいる商品を売っていく比率を上げていくことでこれからも労働生産性を上げることが可能なのです。
そのためにはまず従業員が自信をもって商品をお勧めすることができるように知識を増やすことが必要です。そのために家電製品アドバイザー資格取得の支援を行い、前の年よりも資格取得者を221名増やすことができました。研修も数多く実施し、延べ436回開催しています。その結果、高付加価値商品の販売構成比を前の年よりも2.4ポイント伸ばすことができました。 - 続いて、重点施策③の進捗です。LINEチラシの登録者数は前年に対して320%と増加し販促のデジタル化を進めています。紙媒体の広告に効率の良いデジタル販促を組み合わせた効果もあって、広告宣伝費は前年比95.4%となりました。また、太陽光発電設置店舗は前年比9店舗増の12店舗となりました。これらの取り組みにより、収益性が改善できた店舗もございました。
「中期経営計画2027」(2024年5月9日公表、2025年5月8日一部更新)より抜粋
- Q. 続いて、取り組み事項骨子2『DXにより業務効率化と売上拡大を目指す』の進捗状況について教えてください。
- 吉原:重点施策①の進捗状況です。オンラインショップではデザインを改良したり、商品の検索性を向上させるなど使い勝手を良くするよう修正しました。また価格調査体制も強化し、使いやすさ、品ぞろえ、価格の面で改善を図っています。店頭受け取り件数については前年比106%となりました。取り組みの結果、オンラインショップの売上前年比は100.9%に留まりましたが、自社サイトだけで見ると114.9%となっています。現在テスト中の発送拠点の集約化などの取り組みが進むことで今後成果が表れてくると思います。
- 重点施策②については、業務端末で参照できる項目を随時追加しています。また、社内のネットワーク回線や社用携帯、業務用PC なども見直し、経費削減の一助となっています。
- 重点施策③については、人事、総務、経理関係のデータ統廃合、連携を進め効率化を図っています。また、ペーパーレス化、クラウドやAI の更なる活用も進めています。
「中期経営計画2027」(2024年5月9日公表、2025年5月8日一部更新)より抜粋
- Q. 続いて、取り組み事項骨子3『資本効率の向上を図り企業価値を高める』の進捗状況について教えてください。
- 吉原:重点施策②については、2025年3月期はおよそ200億円の自社株買いを実施し、その結果、自己資本比率は59.4%となりました。
重点施策③については、積極的に投資家との対話を実施し、ミーティングは年間138回となりました。頂いたご意見は適宜取締役会で報告、共有され、今後の成長戦略の議論のきっかけとなっています。
ESG関連では、人権やコンプライアンスの重要性に鑑み、取引先にサプライヤーチェーンエンゲージメントアンケート調査を実施しました。「CSR調達セルフ・アセスメント」アンケートには調達金額のおよそ7割の取引先から回答を得ることができました。またTNFD、生物多様性への対応、開示の準備も進めています。
人的資本関連では、「統合報告書2024」で新たに定めたグループ統一目標に向かって取り組みを進めています。中でも5%以上を目標にしている女性管理職比率は、4.8%の実績となり、前の年よりも+0.8ポイント上昇しました。
「中期経営計画2027」(2024年5月9日公表、2025年5月8日一部更新)より抜粋
- Q. 最後に、今後の需要をどうとらえているかについて教えてください。
- 吉原:当社は家電に特化することにより専門性を高め、高い利益率を創出してきました。その反面、外部環境の影響を受けやすくなっています。短期的に経営に影響を与える外部要因は天候不順(冷夏・暖冬)によるものですが、近年夏季においては異常な高温になることが多く、エアコンをはじめとする季節商品は生命の維持に欠かせないものとして盤石な買い替え需要があり、好調に販売されています。特に北海道及び北東北においては未だ世帯普及率が低く、東北地方のシェアが比較的高い当社にとっては今後も需要の伸びが期待されます。しかし、家電品を買うことができる販売チャネルは今や家電量販店だけでなく、ホームセンターや家具店、ディスカウントストア、テレビショッピング、インターネットでの販売業者など広がっています。そのような中だからこそ、家電品を買い替えるときには当社を選んでいただけるように、引き続きお客様に伝わる本当の親切を実行していかなければなりません。そうすることで、『中期経営計画2027』の計画が達成できるようかじ取りをしてまいります。